新型コロナウィルス感染症の特徴

WHO
  • 呼吸器症状が中心で、多くは軽症だが一部重症化することもある
  • 初期は風邪との区別が困難な症状(発熱や咳など)だが、改善なく持続・悪化する場合は注意

感染した際の症状は発熱が中心で、下痢や嘔吐などの消化器症状の頻度は低いと報告されています。ただし、入院時は発熱症状を伴う症例が半数以下だったという報告もあります。

5万例を超える中国からの報告 [1]によると、多くの症例は軽症で自然に改善し、約80%の症例は軽症から中等症、13.8%が重症(呼吸苦、呼吸数の増加、血中酸素濃度の低下など)、6.1%が重篤(呼吸不全、敗血症性ショック、多臓器不全など)で、3.8%の方が亡くなられています(武漢5.8%、それ以外0.7%)。ただし、これらは検査で確定診断された症例を中心としたデータであり、診断検査の不要な軽症者も多く存在する可能性を考慮すると実際には重症な方の割合はもっと低くなる可能性もあるという意見もあります

[1] Covid-19 — Navigating the Uncharted.[N Engl J Med(The New England Journal of Medicine),2020] 

https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMe2002387?articleTools=true

1月末にWHO(世界保健機関)が新型コロナウイルス感染症の基本再生産数を1.4から2.5程度と推定しています。

基本再生産数はR0とも表記され、一人の感染患者が罹患中に何人の未感染者に伝染させるかの目安で、その病原体の感染力の指標となります。この値は状況によっても大きく変わります。例えば換気の悪い空間に多数の人数がいる場合には数倍に上昇すると考えられます。例えば、ダイアモンドプリンセス号における発生当初のR0は、14.8であったと推定する報告もあります。

Rocklöv J, COVID-19 outbreak on the Diamond Princess cruise ship: estimating the epidemic potential and effectiveness of public health countermeasures, J Travel Med. 2020 

https://academic.oup.com/jtm/advance-article/doi/10.1093/jtm/taaa030/5766334

新型コロナウイルス感染症をインフルエンザと比較すると

現時点では新型コロナウイルス感染症のほうが広がりやすく、亡くなる割合も高い可能性がある.

若い健康な人の場合重症化することは稀ですが、高齢者をはじめとした体の抵抗力の落ちた方の場合には注意が必要です。欧州ではインフルエンザによる死亡者の約9割を高齢者が占めることが示されています。

年齢10万人当たりの死亡割合
85歳以上43.3人
75歳-84歳8.7人
65歳-74歳2.2人
25歳-34歳0.1人

インフルエンザでは致死率は0.1%以下とされます。このため、現時点の新型コロナウイルス感染症のデータは高いことが示されています。(ただし、先述のとおり、今後のデータの蓄積によって最終的な割合はもっと低くなる可能性はあります。)

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