救急診療:画像検査を依頼する場合に注意すべきこと

医療

Point

  • 画像検査を依頼する前にバイタルサインの安定化を図る
  • 病歴聴取や身体診断、血液検査などの結果は放射線科医師に必ず伝わるようにする
  • 検査にて得られる結果を想定した上で、そこ検査の撮像範囲や撮像条件を検討する

はじめに

忙しい外来や救急外来において客観的評価を行える画像診断が好まれる。さらに、緊急度・重症度は高いが頻度は決して高くない疾患を見逃したくないと言う心理が後押しし、経験の浅い医師は、より一層画像検査を依頼する機会が多いことと思われる。

しかしながら、特に救急外来の診療は施設、マンパワーなどに応じて回答が異なり、自施設の状況を理解した上で、重症度に応じて時間を意識しながらより良い選択をすることが求められる。詳細は各施設の取り決めに従っていただくことが重要であるが、画像検査を依頼する上で共通認識として知っておきたいことを記述していく。

1. 画像オーダードリル

症例

20歳代男性、20分前にバイク走行中に車に接触し受傷、ヘルメット未着用で前頭部に活動性出血のある挫傷あり、救急隊接触時:血圧114/80 mmHg、心拍108回/分、呼吸数30回/分、SpO2 99%(酸素10L/分リザーバー付きマスク)、GCS E2V2M5、不穏状態

この症例が搬入されてくる場合、最も適切な画像検査としてまず行うべきものはどれか?

2. 画像検査前に行うべきこと

外傷診療は「外傷初期診療ガイドラインJATEC」,「外傷専門診療ガイドラインJETEC」に基づいて行われいる。

重症外傷患者の救命にはA(airway:気道)、B(breathing:呼吸)、C(circulation:循環)、D(dysfunction of central nervous system:意識障害)の評価と安定化の順に診療を進めていく必要がある。これらの生理学的以上を評価するために、バイタルサイン測定と身体診療に加えて、画像検査を用いる。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)ではとくに循環の異常(C:circulationの異常)を認める傷病者に対して,心嚢腔,腹腔および胸腔の液体貯留(出血)の有無の検索を目的としておこなう。

A・Bの評価にはポータブル胸部X線撮影が望ましく、Cの評価には閉塞性ショックや循環血液減少性ショックを鑑別するためにFAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma )を主体としたエコー検査や胸部・骨盤のポータブルX線撮影をすぐに行うことが求められる。B・Cを安定化させることができればCT検査にて具体的な臓器損傷や出血源の精査をすることができる。この際、GCS、瞳孔径や対光反射、四肢麻痺の有無で緊急の頭蓋内評価が必要であると判断された場合は頭部CT検査を生理学的安定化を終えた後に最初に撮像する。

POINT

頭蓋内病変が疑われる時も必ず、A・B・Cを評価、安定させた後に、頭部CT検査を実施すること

3. 画像オーダードリルの解答

エコーを立ち上げ、放射線科(画像診断部門)にポータブル撮影(胸部及び骨盤部)の依頼と頭部CT検査並びに全身造影CT検査を依頼する可能性を依頼する。

4. 検査依頼文に書くべき情報

救急外来からCT検査を依頼する場合に注意すべき点

  • 依頼コメントはできるだけ詳しく書くこと
  • “ABCDEFGS “アプローチを可能な限り書くこと
  • 病歴がわかっている場合も診断上重要なため可能な限り書くこと

依頼コメントに情報量が少ない場合、的を絞れないため、撮影部位や撮影条件、読影に時間がかかり、結果として正確な診断にたどり着くまでに時間がかかってしまう場合がある。すなわち、年齢、凝固系破綻の有無、易出血性の基礎疾患、内服薬の有無、受傷後の経過時間、受傷エネルギーの大きさ、意識状態、循環動態の推移情報は読影等に役立つ

CT画像情報から治療方針を考えるための8項目 : ABCDEFGS アプローチ

AAge年齢
BNumber of bleeding/Bleeding space出血部位や性状
CCoagulopathy凝固異常
DDrug and history服薬歴や既往歴
EEvent to study time経過時間
FForm of organ injury臓器損傷形態
GGrade of energy/Glasgow coma scale受傷エネルギーと意識レベル
SShock and vital signsショックの有無と生理学的兆候の推移
表1: ABCDEFGS アプローチ 参考文献:一ノ瀬,他:時間を意識した外傷CT診断 : Focused Assessment with CT for Trauma(FACT)からはじめる3段階読影. 日外傷学会, 28:21-31,2014

おわりに

一般外来では主訴に応じて年齢・性別・病歴から鑑別診断を思い浮かべつつ病歴聴取、身体診察で絞り込み、解剖学的アップローチにて確定診断に近づけるために、血液検査や画像診断を侵襲度が低いものからアプローチしていくのが診察の流れがあるが、救急外来では、まず、生理学的アプローチでバイタルサインを安定させなければならない。

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