10年20年先を見据えて始める脂質異常症(高脂血症)のケア

医療

脂質異常(高脂血症)と言われたら、生活習慣を改めよう!!

生活習慣を改めて、脂質異常症を防ぎましょう。それはメタボ予防にもなります。

そこで食生活でのアドバイスと、運動のコツをご紹介します。

ぜひ実践して、脂質異常症対策に役立ててください。根気よく自己管理を続けることが何より大切です。

目次

脂質異常症の治療と予防

日本では206万人を超える患者がおり、増え続けている脂質異常症の最大の問題は、症状が何もないという点です。
 
しかし、血管の壁にはコレステロールが蓄積してプラーク(こぶ)となり、血液の通り道がふさがれる動脈硬化におちいります。脳の血管が詰まれば脳梗塞に、心臓の血管なら心筋梗塞になるリスクがあります。
 
数値に異常があり、再検査と言われても症状がないために放置している方も少なくありません。しかし、それは寿命を縮める自殺行為と言えます。脂質異常症のケアは10年20年先を見据えて寿命を長くするために必要な治療なのです。
 
あなたも症状がないから気付いていないだけで、本当は突然死に続くレールの上を歩いているところかもしれません。

脂質異常症の食事療法

脂質異常症の大きな原因は食べ過ぎなどの食生活の乱れにあります。そのため、治療や予防のためには、1日3食、規則正しく食べることが重要です。20~30代の若い方で、朝・昼は食べず、夕食だけという方がたまにいます。昼間は缶コーヒーだけ、毎晩コンビニ弁当で野菜もあまり食べていない、というような食生活をしていれば若いうちからコレステロール値が高くなるのは必然です。

適切なエネルギー摂取量とは

エネルギー摂取量は、年齢・性別・身体活動量・肥満度・血糖コントロール・合併症などを考慮し決定されます。一般的には、標準体重を求め、身体活動量に合わせてエネルギー摂取の適量を決定します。

コレステロールを控える

血液中のコレステロールは「肝臓で作られるもの」と「小腸で食事から吸収されるもの」がありますが、高脂肪の食事が続いたり、コレステロールの多い食品を食べ過ぎると、小腸からの吸収が増え、血液中のコレステロールの値が上昇します。
食品から摂るコレステロール量は200mg以下/日を目標にしましょう。コレステロールは、卵類、内臓類などに多く含まれます。これらは食べる量と頻度を減らすよう注意しましょう。
魚介類にもコレステロールが多く含まれているものがあります。しかし、魚介類にはタウリンというコレステロール低下作用のある成分を併せ持っているため、魚卵や内蔵を控える程度でよいでしょう。

脂質について

脂肪分の多い肉類や脂肪分の多い乳製品を控え、植物油、魚介類を摂取することで脂肪酸のバランスが整います。

また、トランス脂肪酸の過剰摂取は動脈硬化を促進させますので、トランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニングなどの過剰摂取は避けましょう。

脂肪には多価不飽和脂肪酸(P):一価不飽和脂肪酸(M)、飽和脂肪酸(S)と3種類あります。体内のコレステロールを増やしやすくするのは飽和脂肪酸を多く含む食品、逆に体内のコレステロールを下げる働きがあるのは不飽和脂肪酸を多く含む食品です。

多価不飽和脂肪酸は植物油や魚油に多く含まれ、一価不飽和脂肪酸はオリーブ油に多く含まれています。どちらも血液中のLDL(悪玉)コレステロールを下げる働きがあります。飽和脂肪酸は動物性の脂(肉の脂や乳脂肪)に多く含まれ、LDL(悪玉)コレステロールを増やします。また、魚油は中性脂肪を低下させます。

油は炒めたり揚げたりする目に見える油をイメージされますが、食品に含まれている目に見えない油脂(例:カレールー、菓子やパン類)にも注意し、調理油として1日大さじ1~2杯を適量として使用しましょう。

糖質を摂り過ぎない

砂糖、果物、ジュースなど糖質の摂りすぎは、中性脂肪上昇の原因になります。食事は1日3食を基本として、間食で菓子や果物などを食べ過ぎないよう注意しましょう。

アルコールは節度ある適度な量を

アルコールは血清中性脂肪を増やすため、制限が必要です。また、アルコールは高エネルギーである上に、飲酒によって自制心がゆるみ、食事療法が守れなくなる可能性があるので、できれば避けましょう。

おつまみは食物繊維が多く、動物性脂肪の少ない料理を上手に選び、適量をたしなむようにしたいものです。

運動療法にはウォーキング

脂質異常症ケアに不可欠なのが運動療法です。おすすめは、有酸素運動であるウォーキングです。

ダンベルを持ち上げるような、いわゆる筋トレというよりは、お話を笑顔でできる程度のペースでするウォーキングや遅めのランニングがおすすめです。

それらの有酸素運動を1日30分くらい、週3回程度をこころがけましょう。

 無理に激しい運動を目標にしてしまうと身体に負担をかけることになり、逆効果になることもあります。最寄り駅まで自転車を使っていたという方は歩いていくようにしたり、エスカレーターをやめて階段を使うようにするなど、無理なく続く方法を選択してください。

薬物治療

症状がないのに薬を飲むのは億劫かもしれませんが、薬は1日1回服用すればよいものがほとんどです。1か月に1回程度通院し、経過を診ていきます。服用後1か月程度で結果が出る方も多くいます。

基本的に服用は一生ですが、高齢になったら薬が要らなくなるケースもあります。体質や生活リズムが変わって食事量が減って痩せたことで数値が安定するからです。

コレステロールを下げる薬は今日飲み忘れたから明日何かが起こるというものではありません。寿命を伸ばしたいなら飲み続けてください。

動脈硬化から突然死を招く怖い病気

最近の自分のコレステロールや中性脂肪の数値、把握できていますか。職場や自治体の健康診断や定期的に医療機関にかかっているという方であれば血液検査でチェックできているでしょう。一方、何年も検査をしておらず、わからないという方もいるはずです。

脂質異常症の診断基準とは?

総コレステロール (TC)

コレステロールは、肝臓で作られ細胞の膜を構成したり、腸内での脂肪の消化に役立つ胆汁酸や 性ホルモンを生成する大事な成分です。

しかし、これが多すぎると、動脈の壁に沈着して動脈硬化 を引き起こす可能性が高くなります。特に、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生率は、血液中の コレステロールと相関しています。

中性脂肪 (TG)

中性脂肪は、食物摂取後小腸で吸収され血液の中に入ってエネルギー源として使われます。皮下脂肪や肝臓の脂肪として蓄積されますが、増えすぎると肥満、脂肪肝、糖尿病等の原因となり、悪玉のLDLコレステロールの増加につながるため、動脈硬化を進め脳卒中や心臓病の素地になります。 

特に食べすぎ、アルコールの摂りすぎで値が上昇します。

HDLコレステロール

HDLコレステロールは、いわゆる「善玉コレステロール」のことです。血中の余分なコレステロールを肝臓に戻す運搬役であり、血管壁にへばりついて動脈硬化の原因となる脂肪(LDLコレステロール)を除く働きがあります。

したがってHDLコレステロールが少ないと、動脈壁へのコレステロール沈着が増えることになり、動脈硬化を促進、その結果、脳梗塞、虚血性心疾患、腎不全、肝硬変、糖尿病などに進行します。

LDLコレステロール

血液中ではコレステロールなどの脂肪は種々のたんぱくの運び屋と結合して存在していますが、そのたんぱくの運び屋の一つがLDLコレステロールで、血管を通ってコレステロールを全身に運びます。

しかし、これが増えすぎると、血管の壁に沈着してこぶを作り動脈硬化を起こす危険があるため、「悪玉コレステロール」とも呼ばれます。10mg/dl 増加すると、心筋梗塞の発生が10-15%増加すると言われます。
なお、日本動脈硬化学会では、前述の善玉のHDLが高いために総コレステロール値が高い人もいるため、総コレステロールよりこのLDLで判断したほうが合理的とした診療指針の改定を行いました。

まとめ

脂質異常の予防には、食事、運動、薬物があります。これらを組み合わせることで適切な対応を行うことができます。

10年、20年後の健康を守るために、がんばりましょう!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました