誰も教えてくれなかった「医学論文の書き方10の鉄則」

論文作成術

「誰も教えてくれなかった医学論文の書き方10の鉄則」を紹介したいと思います。論文執筆には、押さえなければならない鉄則がいくつか存在します。

今回は執筆のための基礎的な事項になるので、以前参加した論文セミナーにて学んだ事を中心に記事にしてます。

論文執筆の際に参考にしてくだい。

目次

鉄則1:その分野の専門家になる

これから書く論文のテーマの背景、まだわかっていないことについて精通する。関連する論文を最低100編読むことをおすすめします。

少なくともレビューワーと同程度の知識を持つことが大切です。

鉄則2:タイトルの大切さ

読者はタイトルだけを読んでその先を読むかどうかを決めることが多い。

ダイナミックなタイトルで読者の目をひくこと。そのためにも用語の選択は大事。タイトルを読んでも、その先の本文を読む人は数%にすぎません。

Instructions for Authorsをよく読むこと。

  • タイトルのフォーマットや字数制限が雑誌によって違うので注意。
  • タイトルは極力短く、論文に必要な特定の情報のみに集約すること。
  • タイトルは2行以内にまとめること。
  • 最も重要なキーワードをタイトルの冒頭に入れる。
  • 研究に用いた動物種は明示すること。(例:「動物」ではなく「ラット」)
  • 投稿誌が好むタイトルをつけること。例えば、疑問符を嫌う雑誌や、タイトルに研究の結論を書くことを嫌う雑誌など。
  • 原則としてタイトルに略語を使わないこと。

鉄則3:簡潔なことばで書く。

また主語を「This study・・・」よりも「Our study・・・」とするなど。

  • 明快で簡潔な英語で書く。
  • ほとんど使われていない単語や長い文章は避けること。
  • 略語はできるだけ避ける。略語を用いる場合は最初に必ずフルスペルで定義すること

鉄則4:フォーマットを整える。

論理的(logical)でスタンダードな構成を。

IMRDの原則に従って構成作りを。

  • Introduction(緒言)
  • Materials and Methods(対象・材料と方法)
  • Results(結果)
  • Discussion(考察)

IMRDに何を書けばよいか。

  • I: 何が問題になっているかの答えを書く。
  • M: その問題に対してどのような研究をしたかを書く。
  • R: その結果、何が分かったかを書く。
  • D: 分かったことの意味は何か、その答えつまりDiscussionを書く。

鉄則5:Abstrack(抄録)が命

レビューワーは抄録だけでアクセプトするか決めている。これは、第一印象が重要である。

抄録だけで完結するように方法、結果、結論が抄録のデータから引き出されるように執筆することが大切である。

抄録は原稿が完成した後に書くこと

鉄則6:Introductionは短く、鋭く。

1ページに収まるように。以下の3つの段落に分けて考える。

  • イントロダクションは研究で得られた知見について、読者に背景情報を与える場となります。ここでは背景を説明するのに最も重要な文献のみを引用すべし。
  • 研究理由を明示する。
  • イントロダクションは短く、ディテールはディスカッションで述べるべし。目安として、400~500ワード以内に。

第1段落(5行まで):

対象となる疾患について(1行、引用文献1-2編)、その疾患の臨床的な意義について(2行、引用文献3-5編)、これまでの研究でまだ解明されていない点について(1行、引用文献3-5編)

第2段落:

これまでの研究のレビュー

  • 何がわかっていて何がわかっていないのか
  • 新しい研究が望まれている理由?これまでの研究の欠点?

ここでこれまでの研究の文脈の中でこれから書く論文の位置付けを行う。

第3段落:

この論文の目的を一行で書く。

鉄則7:鍵となる文章をおさえる

  • これまでの考えかたのまとめ
  • 他の研究の紹介
  • 他の研究の欠点、限界
  • わかっていないことを明確に提示する

鉄則8:Discussionの6つの”C”

第1段落:”Clarify”

この論文の結果で一番大切なことをまとめる。

第2段落:”Compare and contrast”

この論文の結果は他の研究、これまでの仮説とあっているか?

もしあっていれば”Our study further supports existing data showing….”

もしあっていなければ”Our study now shows that …”そして予想外の結果について考えられる理由を挙げて考察を加える。

第3段落:”Contemplate”

結果について説明を加える。

基礎研究に立ち返る。

  • 生理学的見地
  • 解剖学的見地
  • 病理学的見地
  • 薬学的見地
  • 物理学的見地

第4段落:”Contribution”

  • 臨床的意義、研究としての意義
  • 治療に対する貢献
  • 今後の研究に対する展望
  • あまり一般化しすぎない。この研究ですべてが解決することはない。

第5段落:”Cons”

  • 研究のデザインの問題
  • 研究の対象者の問題
  • データ収集の問題

第6段落:”Conclusion”

第1段落をコピー・ペーストしてまとめる。

明確なメッセージを伝える。

鉄則9:引用文献も大切

  • よく吟味する。重要でかつ、最新のものを選ぶ。
  • その分野で重要な論文を入れること。
  • レビューワーになりそうな人の論文を引用する。

レビューワーの論文が引用されていると論文はアクセプトされやすい

Egger M,Wood L, von Elm E,Wood A, Shlomo YB, May M. Are reviewers influenced by citations of their own work? Evidence from the International Journal of Epidemiology [abstract]. Proceedings of the 5th international congress on peer review and biomedical publication. Chicago, September 2005

鉄則10:図表は文章に勝る。

  • 図は表に勝る。
  • 表は文章に勝る。

ということで覚書もかねて長く書いてしまいましたが、どれも当たり前といえば当たり前のことですね。やや型にはまりすぎ・・・とも思いました。

しかしながら、繰り返し強調していたのは、「よほど世界を変えるような論文でなければ雑誌の編集方針にしたがって、その雑誌にうまく納まるような論文を提供することがコツ。」とのこと。

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