SAS university editionは提供終了になっております (2022年現在)。
私の大学では無料で製品版SPSS“Statistical Package for Social Science”をインストール&使用できるのですが、大学内のネットワークしか使用できません。
そこで、カフェや自宅で作業するときは統計処理が行えるようSAS University Editionを導入します。

目次
SAS University Editionとは
SASは2014年5月から、米国を中心に大学などの高等教育機関、あるいは社会人学習者向けに「SAS University Edition」を無償提供し、統計分析や定量分析をこれから学ぶ人向けの支援を行っていました。

利点
- SASのBase、STAT、IML、ACCESSが無料で使える
- 常に最新版のSASが使える
- University Editionってあるけど非営利なら学生でなくても使える
欠点
- PCのスペックがそれなりに必要 (メモリ4GB以上)
- 後述しますがファイルを置ける場所がVirtual Boxでローカルと共有したフォルダのみなのでUSBとかのデータはいちいちローカルに移さなきゃいけない
→研究とかで大規模データを扱うにはPCの容量がかなり必要 - 起動が遅い
- 仮想マシンを立ち上げブラウザ上で操作するので計算がちょっと遅い
- 製品版ではないのである程度制約がある(SAS/GRAPHがない→proc gplotが使えない、設定ファイルがいじれないから内部でRを動かしたりできない、など)。
導入環境
私のPC環境です。
- Macbook pro
- Core i5
- メモリ16GB
導入手順
Virtualboxを準備
SAS University Editionは仮想環境で動かすため、Virtualboxが必要です。
もう入れてる人はもちろん必要ありません。
親切なことに、SAS University EditionのダウンロードサイトからVirtualboxとかも入れられるようになってます。
MacにインストールするためにOS X hostsを選択します。

自分のOSにあったVirtualboxをインストールしてください。ダウンロードした.dmgファイルを展開する

Virtualbox.pkgをダブルクリックするとインストールが開始します。


SASファイル用のフォルダを作成
ローカルPC上の覚えやすい場所にSASUniversityEditionというフォルダを作ります(単語間にスペースは入れません)。
SASUniversityEditionフォルダの中に、myfolders というサブフォルダを作ります(単語間にスペースは入れません)。SAS University Editionでファイルを保存するときは、全てこのフォルダに保存することになります。
SAS University Editionをダウンロード
Virtualboxを入れたらSAS University Editionをダウンロードします。ホームページ下部にある今すぐ入手をクリックします。


インストールしたいOSを選択します。今回はOS Xをクリックします。

開始前の確認事項
導入を問題なく進めるため、お使いになるOS Xコンピューターが最小システム要件を満たしていることをご確認ください。
- Mac OS X 10.8 以降
- 64ビット・ハードウェア、最小1GBのRAM
- 次のブラウザのいずれか1つ:
- Apple Safari 6.0 以降
- Mozilla Firefox 21 以降
- Google Chrome 27 以降
SAS University Edition vAppをダウンロード
- [SAS University Editionを入手]ボタンをクリックします。SASプロファイルをお持ちでない場合は、指示に従って作成します。既にSASプロファイルをお持ちの場合は、ログインします。
- SASプロファイルにログインした後、ユーザー・ライセンス契約の利用条件が表示された場合は同意します。
- Order Summaryページで、 Downloadリンクをクリックするとダウンロードが始まります。(ファイルの保存または実行を選ぶ画面が表示されたら、[保存]をクリックして既定の「ダウンロード」フォルダにファイルを保存します
SAS University Editionの設定
SAS University Edition を VirtualBox にインポート
VirtualBoxを起動し、[ファイル] > [仮想アプライアンスのインポート]を選択します。

[インポートしたい仮想アプライアンス]ウィンドウで、入力フィールドの右側にあるフォルダアイコンをクリックします。

ファイル参照ダイアログボックスで、SAS University Editionのファイル(.ovaファイル)を選択します。
[開く]をクリックし、次に [続き]をクリックします。
[仮想アプライアンスの設定] ウィンドウで [インポート]をクリックします。

作成済みのmyfolders フォルダをVirtualBoxで共有
VirtualBox で SAS University Edition vAppを選択し、 [仮想マシン] > [設定]を選択します。

ナビゲーション・ペインで [共有フォルダ]を選択し、ウィンドウの右上隅付近にあるフォルダ追加アイコン (+) をクリックします。

表示されたダイアログボックスの[フォルダのパス]で [その他] を選択し ます。

[フォルダの参照]ダイアログボックスで、SASUniversityEditionフォルダを開き、ステップ1で作成したmyfoldersサブフォルダを選択します。[開く]をクリックします。

手順3と同じダイアログボックスで、[読み込み専用] が選択されていないことを確認します。
[自動マウント] オプションと[永続化する]オプション (該当する場合) を選択してから、[OK]をクリックします。
[OK] をクリックし、[SAS University Edition – 共有フォルダ]ウィンドウを閉じます。
SAS University Editionの利用
SAS University Editionを起動
VirtualBox で SAS University Edition vAppを選択し、[仮想マシン] > [起動] > [通常起動]を選択します。仮想マシンが起動するまでに数分かかる場合があります。起動プロセスが完了すると、SAS University Editionの「Welcome画面」が表示されます。

アクセシビリティの設定
macOSではセキュリティが強化させているためVirtualBoxを開くことが出来ない場合があります。

システム環境設定を開くをクリックしセキュリティーとプライバシーに入る。
鍵マークをクリックしパスワードを入力後VirtualBoxにチェックを入れる。

ローカル・コンピューターのブラウザ(SafriやChrome)で、http://localhost:10080と入力します。
SAS University Edition: Information Centerで、[SAS Studioを始める]をクリックします。

SAS University Editionの画面が表示されました。

まとめ
これでカフェや自宅などネット環境があれば気軽に統計処理を行う事が出来ます。私は論文執筆時やデータ処理時には環境を変えて作業を行いたい派なのでSASを自前のPCに導入したメリットは大きいです。
特に、無料で使用できる点が魅力的です。
Excelでは箱ひげグラフなど作成するには時間が掛かりますが、SASを用いれば簡単に作業を行えます。
導入の参考にしてください。
コメント