英語論文における句読点の基本 “ハイフン”(1)

論文作成術

我々、研究者にとって国際舞台で研究結果を発信するために必要不可欠なツールのひとつが英語になります。

しかし、ビジネス用の英語レッスンは巷にあふれていても、学術研究者向けの英語を教えてくれる場はほとんどないのが実情です。

初めての英語論文の執筆や学会発表は、研究室の先輩や仲間の見よう見まねで乗り越えた……という方も多いのではないでしょうか。本ブログでは、初めて英語論文を書く方や学術英語の基礎をもう一度押さえたいという方のために、私自身も医学系研究者であり、研究者による研究者のための“使える”英語論文執筆の基礎知識をご紹介します。

今回は、日本人でもなじみのある「”-” :ハイフン」です。よく見る約物(句読点などの記述記号)ではあっても、厳密な使い方といわれるとちょっと困ってしまう方も多いのではないでしょうか。

そんな身近ではあるものの、ちょっととっつきにくい「ハイフン」について、数回に分けてご紹介します。

目次

“ハイフン”の用法について

ハイフンには主な用法が2つあります。ここでは、まずそれら2つの用法を個別に扱い、次に特殊な用法をいくつか示し、最後によく見られる誤用例を取り上げます。

接頭辞との併用

接頭辞の後に語幹が組み合わさった語、つまり「[接頭辞]+[語根]」という構造を持つ語は多く存在します。その中でも接頭辞と語根の間にハイフンが挟まれる語は、決して一般的ではありませんが、多数存在します。英語の「センス」でハイフンの必要性の有無が理解できる場合もあります。

しかし、ハイフンを入れるか入れないかについては厳密な規定はなく、同類の語でもハイフンを使う場合と使わない場合があり、区別の基準が明らかでないことも多いのです。

そうした場合、ハイフンは慣例的に用いられることとなり、その慣例が時間とともに変わることもよく見られます。

したがって、それぞれの場合において確実にハイフンの正しい用法を判断するためには現代の辞書を調べるしか方法がありません。しかし、ハイフンがほぼ確実に必要なケースもいくつかあり、以下がその代表的な例となります。

接頭辞の最後の文字と語根の最初の文字が同じ母音
例:「re-examine」、「anti-intellectual」、「ultra-advanced」、「semi-infinite」

使用頻度が低い言葉(特に辞書に載っていない語)
例:「semi-colonial」、「non-descending」、「post-interdisciplinary」、「quasi-differentiable」

語根が大文字から始まる
例:「non-Japanese」、「pseudo-Keynesian」、「inter-European」、「post-Einstein」

ハイフンがないと別の言葉と混同される
例:「re-charge」(再請求する)、「pre-sent」(事前に発送した)、「set-up」(組み立て)、「pre-occupation」(占領前)

接頭辞が「self-」の語
例:「self-appointed」、「self-explanatory」、「self-analysis」

接頭辞が「ill-」の語
例:「ill-founded」、「ill-conceived」、「ill-equipped」、「ill-defined

今回のポイント

1)ハイフンを入れるか入れないかについては厳密な規定はなく、区別の基準が明らかでないことが多い。

2)ハイフンは慣例的に用いられ、その慣例が時間とともに変わることもよく見られる。

 ・確実にハイフンの正しい用法を判断するためには辞書を確認するしかない。

3)一部においては、ハイフンの使用が確実なケースもある

 ・接頭辞の最後の文字と語根の最初の文字が同じ母音

 ・使用頻度が低い言葉(特に辞書に載っていない語)

 ・語根が大文字から始まる

 ・ハイフンがないと別の言葉と混同される

 ・接頭辞が「self-」の語

 ・接頭辞が「ill-」の語

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