自身の研究活動や業績と、よく似た名前の別の研究者の研究をどうしたら区別できるのだろうかと、時々考えたことがありませんか?
自分の出版物で名前を“K Tanaka”としていたとして、別の“K Tanaka”があなたの引用や特許を横取りするのを、どうしたら防げるのでしょうか?
国を超えた学際的な研究に関わっている場合、オンラインのデータベースや情報システムに、自分の情報を何度も何度も入力する必要に迫られます。
どうしたら、この平凡な事務作業のスピードを上げることができるでしょうか?
ORCID が救いの手に!
ORCID(Open Researcher and Contributor ID)または ORCID, Inc. は、学術関連の様々な利害関係者が集まって、研究者への識別子付与に取り組む国際的組織です。
ORCID(オーキッド)が付与する研究者識別子は ORCID iD と呼ばれます。研究者は自らORCID iDを取得して、それに研究成果や活動履歴を結びつけることができます。
ORCID iDは、出版社をはじめ、研究機関、研究費助成団体、その他多くの学術情報サービスとの連携に使用されます。
すべての研究者に、参加と無料登録を勧めています。
私が、先日投稿したEJRにもORCIDを記載する欄がありました。
どんな利点が?
登録すると、16ケタの識別番号がもらえます。
この番号は研究や業績とリンク付けされ、自分の研究すべてに対し自分だけが著者として認められることが確実になるのです。
つまり、2人のK Tanakaが同じ人だと間違われることはなくなるのです。
ORCIDに登録する研究者が増えれば増えるほど、識別番号により、その分野の他の専門家や世界のどこかにいる特定の研究者を見つけるのが簡単になります。
アメリカ物理学会、エルゼビア、トムソンロイターを筆頭に、300以上の出版社、資金提供機関、そのほか研究関連の組織が早くもローンチ・パートナーとして登録されています。
これは、助成金申請や履歴書管理に必要なデータはすべて数回クリックするだけで簡単に取り戻すことができ、毎回データを入力し直す必要がないということを意味しています。また、引用管理も簡単になるでしょう。
ORCIDを通じ、自分が発表したものをターゲットとするデータベースに送ることさえ可能です。これにより普段の仕事は大幅に減らすことができます。
ORCIDの記録は、他のネットワークや連携システムと同調させることもできます。
ORCIDの世界的普及率は?
ORCIDを取得した研究者の数は、2016年1月現在で190万人を超えています。
また、ORCIDを利用したサービスを提供する出版社、大学、研究助成機関などは350以上あり、急速に増えています
どうやって登録するのか?
ORCIDへの登録は、http://www.orcid.orgにて無料で簡単にできます。
登録が完了したら、詳しい所属、助成金、所有物としての特許などを入力すると自分の記録を作れます。
掲載に関するデータをCrossRef databaseから取り戻す、ResearcherID やScopusのような他のシステムとデータを同調させることもできます。
自分の代わりに雇用主に登録してもらうようにした場合には、自分の記録を認証するだけでよいでしょう
ORCIDは、自分が公表したいと思っている研究活動についての情報を備えたオープン・レジストリを意図して作られていますが、自分でプライバシーの設定をしたり、プロフィールをどのくらい公開するか決めたりすることが可能です。
まとめると、ORCIDは新しく刺激的な取り組みです。研究者が互いに心を通わせ、これまで以上に協力しあい、専門分野や地域という障壁を乗り越え、世界的に統合されたリサーチ・コミュニティを作るための方法として役に立つでしょう。
今すぐ登録してみてはいかがですか?
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