放射線の単位の紹介です。
ご参考までに
目次
放射能<Bq>
放射能とは放射性同位元素が単位時間あたりに放射線を放出する数を示します。
この能力の高さを表す単位がBq(ベクレル)で、放射性同位元素(RI)の1秒間の壊変(=崩壊)数と定義されています。放射能がもとの半分になるまでに要する時間を半減期といい、その期間はRIごとに固有です。Bqは、放射能の発見者であるアントワーヌ・アンリ・ベクレルの名前に由来します。
照射線量<C/kg>
X・γ線は、原子と衝突して軌道電子を弾き出す電離作用があります。
照射線C/kg(クーロン毎キログラム)は、X・γ線が空気中を通過する時に作る電気の量をあらわします。
以前使われたR(レントゲン)のほうがなじみ深いという方も多いかもしれませんが、現在の国際単位系ではC/kgと表示されます。
吸収線量<Gy>
吸収線量Gy(グレイ)は、放射線の通過した物質がその放射線からどの程度のエネルギーを吸収したかを表す単位です。
1kgに1J(ジュール)のエネルギーを与えた放射線の量が1Gyとなります。
従って国際単位系ではJ/kgですが、固有名称としてGyも認められています。吸収線量の測定で業績を残したハロルド・グレイの名前に由来します。
等価線量、実効線量<Sv>
等価線量や実効線量は、放射線防護のために用いられる線量です。
放射線による人体への影響は、人体が放射線から同じ吸収線量を受けても、どのような放射線を体のどの部分に受けたかで違ってきます。
これらの線量は、より正確に組織や臓器あるいは全身の被ばく量を評価できるよう国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告で示され、わが国でも平成13年4月1日施行の現法令に取り入れられました。
等価線量は、放射線を受けた組織・臓器ごとに、放射線の種類やエネルギーを考虜した上で算出された線量です。以前用いられていた線量当量は、放射線の種類のみが考虜され、組織や臓器のある一点で規定されていました。これに対し、等価線量は、組織・臓器全体にわたって平均したものと定義されています。組織や臓器の確定的影響(※1)を評価するために用いられます。
実効線量は、放射線による全身の被ばく量を表わすために用いられ、組織・臓器ごとに算出された等価線量に組織荷量係数(※2)を乗じて合計したものです。確率的影響(※3)をより正確に評価できるよう取り入れられました。等価線量と実効線量は共に吸収線量をもとにした線量ですので、単位はJ/kgでも表わせますが、放射線防護上の特別名称としてSv(シーベルト)を用いるのが一般的です。Svは、放射線防護の分野で功績のあったロルフ・シーベルトの名前に由来します。
このように、等価線量や実効線量は測定・評価が極めて困難な線量であるため、実際の放射線管理では、より安全側に定義された1cm線量当量や70μm線量当量が用いられています。
- ※1 確定的影響・・・被ばく線量に応じて発症する影響。
- ※2 組織荷重係数・・・組織・臓器ごとの相対的な放射線感受性を数値化したもの。
- ※3 確率的影響・・・放射線の被ばく線量に応じて、発症する確立の高くなる影響。
コメント