2020年7月3日、医療被ばく研究情報ネットワーク(Japan Network for Research and Information on Medical Exposures: J-RIME)が「日本の診断参考レベル(2020年版)」として、診断参考レベル2020(DRLs 2020)を発表しました。
目次
診断参考レベル(Diagnostic Reference Level; DRL)
患者が診療によって受ける線量について、診断や治療の目的を担保した上で最適化するためのツールです。今回の改訂は、国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection: ICRP)が少なくとも3~5年ごとのDRLの更新を推奨していることに基づくもので、DRL 2015と比べて、DRL2020 の値は同じかやや低い値になっています。
これは、放射線診療やIVRにおいて用いている線量がこの5年間で同じかやや減少したことを意味しています。
2020年4月に診療用放射線に関する安全管理を盛り込んだ医療法施行規則の一部改正が施行され、線量管理の具体的な実施方法として、関係学会の策定したガイドライン等に則りDRLを活用することが示されました。
DRLの活用がさらに浸透する中でDRLs 2020は重要なガイドラインとして、各医療施設における線量管理やその最適化の推進に役立つことが期待されます。
DRLs 2020策定のポイント
ICRPが定めたDRL策定の指針に従い、DRL2015と比べて、以下の改正を行っています。
- 小児CTに関して、年齢別だけでなく、体重別のDRLが定められた。
- 歯科領域に関して、パノラマX線撮影、歯科用コンビームCTが追加された。
- 画像診断装置で体内を透かして見ながら器具を用いて標的となる病気の治療を行うIVR(Interventional Radiology)に関して、医療現場の使いやすさを考慮して、装置に表示される指標を用いたDRLも新たに定められた。
- DRL2015では積み残しとなっていた診断時の透視について、DRL設定のためのアンケート調査を実施し、症例数の多い、あるいは被ばく線量が高い検査12種類についてDRLを定められた。
- SPECT/CT、PET/CTのCT線量についてもDRLを定められた。
日本の診断参考レベル 2020年版
http://www.radher.jp/J-RIME/report/JapanDRL2020_jp.pdf
J-RIME
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